【書評】日本の納税者。給与所得者は知らない税の仕組みと秘密とは?
難しい本を手にとった。薄いからすぐ読めるだろうと思った自分をとがめてやりたいです。
法学部教授・弁護士である著者、三木義一さんの文章は厳格で素人には読み進めにくいところもありました。
ですが、反対に、著者が真面目に日本国民の税に対する無関心を問題視し、改善をしようとしている想いがひしひしと使わってきました。
今回わかった知識も多かったので、印象に残ったところをかいつまんでご紹介していきます。
日本の給与所得者率は多すぎる?
著者が突っ込んでいるのは、日本の給与所得者率の多さです。
確定申告をしなくても、源泉徴収と年末調整に任せておけばほとんど税金のことを考えなくても生きていけてしまう。
それによって自身の支払った税金が何に使われているかや、誰がどこからいくら取るのかを決めているかに鈍感になり、その結果アンフェアな状況になっても是正できなくなってしまう、ということに警鐘を鳴らしています。
給与所得者には社長や新聞記者も入ります。一般的に社長は税金の知識が多いと感じてしまいますが、実情は会社のお金の流れに関しては税理士がつくことが多いですし、個人の給料に関してはサラリーマンの給料の仕組みと変わらないので、なにか突出して税金に詳しくなるという背景は見当たらなかったりします。
そもそも、最初はこんなにも給与所得者が多くなる予定はなかったようで、結果的に多くなってしまったことによって、税務署に足を運ばなくてもよくなった人が大量に生まれたようです。
税理士も税法に詳しいわけではない?
これはびっくりしました。素人考えでは、税理士は難関な試験をクリアした選ばれた人なのだから知識や経験が豊富でプロの仕事をしてくれるに違いない、そう思っていました。
ところが、税理士になる方法には一般的な試験だけでなく、税務署職員として規定年数勤務していれば一部試験科目を免れられたりするパターンが存在するみたいです。
そういう人達を「OB税理士」というみたいですね。
つまり、税理士=税のプロ、ではなく税理士=税理士の資格を持っている人、ということです。
悲しいかな、もし自身で税理士を探す場合、誰でもいいということは断じてなくて、厳し目の選定が必要になってくるということです。
税を徴収する側に有利になっている
筆者が著書でこんこんと訴えていたのは、フェアでなくてはならないということ。
どうやら、近年は徐々に改正されてきた税法も、以前は徴収する側にかなり有利に作られていて、納税者が泣き寝入りするケースが多々あったようです。
というのも、納税者の性質的に脱税に走ったり税金を抑えようとする傾向がある、という前提のもとルールが作られていたようで、それはフェアではないと筆者は言っています。
正しく納税するのが前提で、もしそこからずれていた場合は是正したりするのが本来の形。
読んでいて思ったのはAppleとGoogleのように巨大プラットホームの中でビジネスをするのと似てるなと思いました。
強大な力を持つプラットホームから何かを言われた場合、こちら側が不服申し立てをする窓口や道筋はあまり示されておらず、そうなってしまったらもう終わり、というのがまかり通ってしまっている部分があります。
これもアンフェアですよね。
アンフェアになる原因はとっても簡単で、「自分たちは嫌な思いをしたくない」「面倒なことはしたくない」という理由だと思います。
驚きますが、税を徴収する側も楽に徴収したいわけで、権利だなんだをあまり振りかざしてほしくないんです。
誰が正義なのか何が正義なのかもわからなくなってきますよね。
似たようなケースだと会社と従業員の関係もそうですよね。最近は労働者の権利が強くなってきましたが、それでも会社からしたら変にごねてほしくないという本音があると思います。
結論はみんな人間だからですかね。みんな自分のメリットが絡んできてしまうので、ルールをフェアにしまうしょう、といってもじゃあそのフェアを最終的に決めるのは誰なんだ?となってしまいます。
結局ほんとにちゃんとするには外部の人間だったり専門家だったりが中間に入るしかなく、そういった改善策を取らない限りはアンフェアな方向にどんどん歪んでいくのが人間というものだと思います。
偉い人を信じるのはやめよう
みんな自分が大事で、自分にデメリットのある言動はなかなかしてくれません。
税金のことも生活のことも、仕事のこともなんでも、国がなんとかしてくれるとか会社がなんとかしてくれるというのはかなり危険な希望的観測です。
自分でなんとかするために、インフルエンサーの意見を自分の意見のように発しないために、様々な知識をつけて色んな角度から物事を見れるようになるのがベストだと感じます。
もう誰も信じられないのは悲しいですけどね。。
好きな世の中にしたいなら、まずは自分から、理想に向かって日々改善していきましょう。
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